フォント : Nu Nimono

概要

Nu Nimono(ニモノ)は、「プログラミング向き」とされる等幅書体の利点の一部を、可変幅(プロポーショナル)の書体で実現しようと試みた書体です。ピリオドなどの記号が大きくて見やすい、紛らわしい文字を見分けやすいといった特徴を備えながら、〈m〉や〈w〉が窮屈にならないという可変幅の特徴も持っています。姉妹書体として Nu Nimonade があります。Nimono が姉です。

Nimonade に比べて Nimono は地味で大人しい線が多く、アセンダーとディセンダー(〈b〉や〈p〉の突き出した線)が長めで、垂直性が強いです。プログラミング以外の用途では「コンピューターっぽさ」を伴いつつ、あまり特徴を主張しない淡白な組み上がりになると思います。

お使いのブラウザーが対応していれば、次の書体見本を自由に書き替えられます。ここでは無料ウエイトの M2 のみ選択できます。

const lazyDogs = document.getElementsByClassName("lazy-dog"); for(let dog of lazyDogs){ const woof = document.createTextNode("わんわん!"); dog.appendChild(woof); }

プログラミング用途での特徴

プログラミング用とされる一般的なフォントと同じく、次のような特徴があります。

しかし大抵のプログラミング用のフォントと違って可変幅(プロポーショナル)なので、次の性質も持っています。

可変幅と言っても「最低限の字幅」を常に確保するように設計しており、次の特徴は意識的に維持しています。

このフォントが使えるかどうかは目的次第です。等幅という特徴が必要な作業では、当然等幅の書体を使うべきです。その性質がなくても困らないなら Nu Nimono や Nu Nimonade を使えます。(なお、空白をたくさん埋めて縦列の頭を揃えようとする用途には、代わりに elastic tabstops を推奨します。それを利用できるコーディング環境であれば。)

プログラムを書く時のほか、全般的に機械寄りの文字列を人間向けに表示するのに向いています。例えば印刷物に URL を記載する時とか。

スタイル上の特徴

Nu Nimono は無意識に読める地味な文字を目指しており、あまり強い特徴を持っていません。姉妹書体の Nimonade と対比すると、小文字と大文字の高さの差が大きく、アセンダーやディセンダー(〈b〉や〈p〉の突出)が長めです。〈g〉や〈C〉など曲線の端の巻き込みの弱さも含めて、ちょっと「気品がある」かも知れません。

記号類の多くを「大文字の中心を貫く線」に揃えてあり、括弧などが下へ飛び出しません。但しハイフンマイナス(-)とコロン(:)については、前後の文字に応じて小文字の位置に切り替わる事があります。ハイフンマイナスは「小文字に挟まれた時」、コロンは「小文字に後続する時」が条件です。

ハイフンマイナス(U+002D)は、通常はプラス記号などと揃う位置に表示されます。小文字に挟まれた時だけハイフンと見なし、位置が低く、左右の余白が狭くなります。

原則として「同じ字は同じように、違う字は違うように見える」というのを大事にしているので、記号の形を大きく変える派手な合字などは装備していません。

ファミリー構成

太さは L1〜L6、M1〜M9、H1 の 16 ウエイトがあります。通常の細字に当たるのが M2 ぐらい、太字が M5 ぐらいです。ウエイト M5 には「M2 に対する太字」というスタイルリンク情報を付けています。

文字の大きさが微妙に異なる「Nu Nimono」と「Nu Nimono Small」の二系列があります(同梱です)。これは和文フォントと混植される際に、大きさの比率を選ぶ為に用意しています。ほかのフォントと比べると大体次のような大きさです。

Nu Nimono
「源ノ角ゴシック Code JP」に近い。相対的に和文が小さめ。
Nu Nimono Small
大抵の等幅フォントの平均的な大きさ。相対的に和文が大きめ。

Nu Nimono Small の大きさを 100% とすると、Nu Nimono は正確に 112.5% です。

各ウエイトの見本です。
Nu Nimono と Nu Nimono Small に対する和文部分の大きさの比較。英字が同じ大きさになるようにフォントサイズを指定しています。

収録字種

いわゆる Latin‐1(ISO 8859‐1)の文字を全て収録しています。そのほかマクロン付きの母音字「Ā Ē Ī Ō Ū ā ē ī ō ū」や、方向のある引用符「“ ” „ ‘ ’ ‚」などがオマケで入っています。

収録グリフの見本です。

フォントの形式

メインは OpenType‐版(PostScript‐系)ですが、Windows の画面表示には TrueType の方が使いやすいようなので、そちらも同梱しました。Windows の画面で ClearType の効果を求める場合は「.ttf」のファイルを使って下さい。

利用条件

このフォント(Nu Nimono v2.0)を正規の方法で取得した人は、作者(さゆぬ)に個別の許可を求める事なく、下記の範囲でフォントを利用できます。この範囲を逸脱する使い方については、御相談下さい。

画像などの作成と公開

このフォントに収録されている字形などのデータを使って文書・画像・動画などを作り、それをインターネット上に公開したり、出版したりできます。営利目的かどうかは問いません。作者名など(クレジット)を表示する必要もありません。

フォントの再頒布

このフォント自体を再頒布(送信可能化)してはいけません。他人に紹介したい場合はフォントファイルを渡すのではなく、公式ウエブページへ誘導して下さい。

フォントの改変と頒布

このフォントに由来するデータを使って新たなフォントを作成し、それを私的な環境にインストールできます。それを頒布してはいけません。ここで言う「新たなフォント」とは、一字づつ切り出した画像など、フォントと同然に使用できるデータを含みます。

アプリケーションなどへの組み込み

アプリケーションに収録された不変の文字列を表示する目的で、このフォントデータをゲームなどのアプリに組み込んで頒布できます。但し、技術的にフォントデータを取り出せない状態となっている必要があります。

免責

このフォントの使用によって何らかの損害が生じた場合、フォント作者はその責任を負いません。

また、有料版のライセンスには次の決まりが加わります。

機器の台数

販売されたライセンス一個につき、このフォントを次のどれか一項に当てはまる環境で使用できます。

  • 主な使用者が共通である三台のコンピューター
  • 一世帯で保有されている三台のコンピューター
  • 二台か一台のコンピューター

個々の機器にインストールする場合、その台数を指します。フォントサーバーから取得するような構造の場合、それに接続してフォントを取得できる状態の機器の台数を指します。また「主な使用者」とは、その機器の(演算装置の稼働時間の)五割以上を使用する人を指します。ライセンス購入者とは限りません。

転売

このフォントは転売できません。

フォントの入手

このフォントは Pixiv が運営している Booth という外部サイトで頒布しています。初回は利用者登録が必要ですが、単純ですし、ほかの方々のフォントも陳列されているので見に行ってみて下さい。

Summary for non‐Japanese speakers

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